五味康祐
(ごみ やすすけ)1921~1980年、享年58。大阪府出身。小説家、音楽評論家。本名は五味 欣一(きんいち)。
大阪府立八尾中学を経て早稲田第二高等学院に学んだが中退、明治大学文芸科に入学したもののほとんど通学せず、1944年応召、九江近辺で敗戦を迎える。1947年、亀井勝一郎を頼って上京、種々の職業を転々としたが、1952年「新潮」の〈全国同人雑誌推薦小説特集〉に「喪神」を発表。同作が第28回芥川賞に選ばれて文壇にデビュー。のち『柳生連也斎』(1955年)で剣豪作家として話題を呼び、『柳生武芸帳』(1956‐1958年)で、剣の柳生を忍びの政治集団としてとらえ直すなど、ユニークな発想にもとづく伝奇ロマンを精力的に発表。時代小説に新領域を開き、「剣豪小説」の一時代をつくる。また、オーディオ・クラシック音楽評論でも名高く「オーディオの神様」とも呼ばれ、『西方の音』『天の聲 西方の音』『オーディオ巡礼』『いい音 いい音楽』などの著書がある。