野口冨士男
(のぐち ふじお)1911~1993年、享年82。東京都出身。慶應義塾大学文学部中退後、文化学院文学部卒。小説家、編集者、文学研究者。本名は平井冨士男。
大学卒業後、1933年紀伊國屋出版部に入社し、雑誌「行動」の編集にあたる。一方で徳田秋声の「あらくれ会」に参加。1940年、都の庶民生活の哀歓を描いた第一創作集『風の系譜』を刊行し評判を得た。1950年ごろから創作上の行き詰まりを感じ、徳田秋声を考証的に研究し、『徳田秋声伝』(1965年)により第7回毎日芸術賞を受賞する。このころから創作の道に復帰し、1976年『わが荷風』で第27回読売文学賞(随筆・紀行部門)、1979年『かくてありけり』で第30回読売文学賞(小説部門)、1980年短編「なぎの葉考」で第7回川端康成文学賞を受賞する。1982年、「作家としての業績に対して」第38回日本芸術院賞、1986年、『感触的昭和文壇史』で第34回菊池寛賞を受賞する。1菊池寛賞。1987年、日本芸術院会員。1984年から1988年まで日本文藝家協会理事長を務めた。