高見 順
(たかみ じゅん)1907~1965年。享年58。福井県出身。第一高等学校を経て 東京帝国大学英文科卒。小説家、詩人、評論家。本名・高間義雄、のち芳雄。
労働運動やナップに参加。1933年検挙された後、転向。留置中に妻に去られ、転向と家庭崩壊の二重苦のなかで書いた『故旧忘れ得べき』 (1935年) が第1回の芥川賞候補作となる。その後、長編『如何なる星の下に』 (1939~1940年) や評論『文学非力説』 (1941年) 等でインテリ作家としての地位を築く。戦後は長編『激流』 (1部1959~1963年、2部 1963年未完) 、『いやな感じ』 (1960~1963年)、 詩集に『樹木派』(1950年)、『死の淵より』(1964年)等を発表する。また、戦争中の1941年1月から 1965年の死の直前まで書き継いだ日記『高見順日記』 (1964~1966年) 、『続高見順日記』 (1975~1977年) は、昭和史の貴重な記録である。そのほか鎌倉文庫の経営、日本近代文学館の創設や資料収集に尽力した。没後文化功労者追贈。