辻 邦生
(つじ くにお)1925年(大正14年)9月24日 - 1999年(平成11年)7月29日)、享年73。東京都出身。
1944年に旧制松本高等学校理科乙類へ入学し、寮生活において斎藤宗吉(北杜夫)と知り合い終生交流し、回覧雑誌や句会を行い、演劇にも親しみ自ら出演もした。東京大学文学部仏蘭西文学科を1952年に卒業し同大大学院へ進学。卒業論文は「スタンダール論」。1957年から1961年までフランス・パリに留学。帰国後の1963年『廻廊にて』で近代文学賞受賞。以後『安土往還記』(1969年、芸術選奨新人賞)や『背教者ユリアヌス』(1973年、第14回毎日芸術賞)などの歴史小説で、様々な文学賞を受けた。1981年、父の死去を機に辻家の家系を探訪。山梨県立図書館に所蔵されていた「辻家文書」(現在は山梨県立博物館所蔵)などを参照して小説「銀杏散りやまず」として発表。西行の生涯を描いた歴史小説『西行花伝』で谷崎潤一郎賞を受賞。1996年、日本芸術院会員。父はジャーナリストで薩摩琵琶の伴奏家・辻靖剛、妻は美術史家の辻佐保子。