安岡章太郎
(やすおか しょうたろう)1920年(大正9年)4月18日-2013年(平成25年)1月26日、享年92。高知県出身。
父が陸軍獣医官であったため、千葉県市川市、香川県善通寺市、東京小岩、京城(現・ソウル)、青森県弘前市と転居を繰り返し、小学校5年から東京青山、目黒などで育った。青南小学校から第一東京市立中学校に入学するが、素行不良のため教師の実家の禅寺に3年間の寄宿生活を強いられる。青南小学校以来軍隊除隊までの劣等生への風当たりは小説やエッセイで再三文章にしており、病気、落第と共に彼の重要な文学的動機になっている。慶應義塾大学文学部在学中に入営、結核を患い除隊となる。戦後、カリエスを病みながら小説を書き始め、1953年「陰気な愉しみ」「悪い仲間」で第29回芥川賞受賞。弱者の視点から卑近な日常に潜む虚妄を描き、吉行淳之介らと共に「第三の新人」と目された。1959年『海辺の光景』第10回芸術選奨と第13回野間文芸賞、1981年『流離譚』で第14回日本文学大賞、1991年『伯父の墓地』で第18回川端康成文學賞を受けた。